
生きた機関としての学校の再生
元毎日新聞社記者で、2001年からロンドンに住み、2人の男児を育てている女性が、2007年に刊行したブックレット。1988年以降イギリスでは、サッチャーが学力向上のために現場の反対を押し切って(原案も歪曲)、教育に中央集権的性格と市場原理を導入し、統一カリキュラム・統一学力テストの設定、テスト結果の公表による学校間競争とそのための学校自治の法的保障、それによる親の学校選択権の保障、国家による強力な学校査察制度の導入を行った。ブレアは基本的にそれらを継承しつつ、教育費の増額、幼児教育の強化、トップダウン型成績到達目標設定の慣行の定着、「失敗校」支援策を行った。これらの教育改革は、義務教育期間中の子どもに教えるべき教育内容の明確化をもたらしたと言われる反面、問題校の辱めによる教育および地域の階層化、点数至上主義教育に
よる現場のストレス、画一的授業、考える力の弱体化、テストでの不正事件、文書や職員会議の多さによる現場の気軽なコミュニケーションの希薄化、校長不足、教育の低年齢化等をもたらしたと批判され、また学力水準もそれ程向上してはいないという評価も下されている(判定基準の問題あり)。そのため、イギリス各地でサッチャー改革への批判が生じ、テスト中心主義から子ども中心主義への移行、教科横断的授業、基礎を踏まえた上での知識の多様な応用の重視、教師の判断の尊重、学校間協力への動きが見られる。総じて「生きた機関」である教育現場には、敗者を必然的に生み出す競争原理や、外部...