
ガリア戦記
塩野七生氏によるローマ人の歴史物語文庫版第9弾は、大活躍を始めるカエサルの物語である。
カエサルに至っては、ルビコン以前と以後とにそれぞれ複数巻を充てる、ローマ人の物語シリーズの中でも異例の大特集になっている。
ローマ史上、カエサルが極めて重要な位置を占めることは間違いないにしても、それにしても著者は余程のカエサルへの思い入れがあるらしい。
ローマ人そしてカエサルへの愛が随所に滲み出た文章で、著者は恰もそこにいて見てきたかのように生き生きと、カエサルらの物語を描写していく。
本巻のメインはガリア戦役で、カエサルがいわばフル稼働し縦横無尽の活躍を見せる。
凱旋式挙行の機会を放棄してまで執政官に当選したカエサルは、さまざまな政策を実現し、1年の任期終了後は前執政官として属州総督に赴任。
現フランス、ドイツ、ベルギー、オランダ方面の広大な管轄地と長い任期を確保したうえで属州に赴いたカエサルは、
元老院に諮ることもなしにガリアを平定していく。ガリア人、ゲルマン人共々部族が多くややこしいが、
カエサルが軍事力や機転、素早く的確な状況判断を通して次々と諸部族を制圧していくさまが描かれる。
大きな軍団にとっては意外と戦いにくいゲリラ的戦闘、アウェーの地での兵糧確保、ローマに戻れない状況下でのローマ情勢のコントロール、
各部族の恭順と反乱、前代未聞のライン川渡りとブリタニアへ向けてのドーバー海峡超え・・・とカエサルは難局を乗り越え偉業を達成していく。
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